卵巣腫瘍は
見逃されがち
卵巣は排卵の度に細胞が傷つき修復する状態を繰り返すため、比較的腫瘍ができやすい臓器と言われています。
卵巣にできる腫瘍には良性と悪性で幾つかの種類があり、そのうちの9割程度は良性の腫瘍です。
しかし腫瘍が小さなうちは月経も順調でほとんど症状がないことが多く、自分では気づかないことが多いのです。
腫瘍が大きくなって着衣のウエストがきつくなり、気になって受診して初めて発見されることもあります。
卵巣腫瘍の症状
卵巣の腫瘍は20cm以上に巨大化することもあります。大きくなった腫瘍は、周囲の臓器や血管、リンパ管などを圧迫して、様々な症状を起こします。
膀胱や直腸が圧迫されると頻尿や便秘、静脈が圧迫されると血流が悪くなり下肢の浮腫、リンパの滞留によって腹水が溜まると妊婦のようにお腹が大きくせり出してしまうこともあります。
さらに卵巣腫瘍の付け根の部分が何らかの事情で捻れてしまう茎捻転が起こると、下腹部に激痛が現れます。また腫瘍の一部が破れたりすると危険な状態に陥り、緊急手術が必要になることもあります。
卵巣腫瘍の診断
卵巣にできる腫瘍には良性、境界悪性、悪性の3種類があります。卵巣は腹腔内の臓器で、他の臓器に複雑に取り囲まれているため、どのタイプの腫瘍かを確定検査するための組織採集は容易に出来ません。
そのため、まずは経膣超音波検査を行い、卵巣の大きさ、内部の状態といった全体像を把握します。その後、CT検査やMRI検査によって、隣接している子宮、直腸、膀胱といった他の臓器や、血管、リンパ管との関係などを調べて、どの腫瘍のタイプかを推測します。
しかし、最終的には手術を行い、摘出した組織の病理検査を行うことで確定診断に至ります。
卵巣腫瘍の治療
良性腫瘍
良性の腫瘍は、一般的に卵巣嚢腫と言われるものが多く、薬物療法で治すことが出来ません。 そのため、強い症状が出ている場合や、腫瘍が大きくなり5～6cm程度を超えた場合、茎捻転などを避けるために手術を検討することになります。
もし急激に茎捻転が起こったり、腫瘍が破れたりした場合には緊急手術となることもあります。
手術は、明らかな転移や悪性である所見が認められない限り、腹腔鏡下で行い、症状や将来の妊娠希望の有無によって、病巣だけを摘出する卵巣嚢腫核出術や、腫瘍のできている側だけの卵巣を摘出する付属器摘出術から選択します。
卵巣は左右にあるため、片側だけを摘出しても妊娠は可能です。
