関節リウマチ

関節リウマチとは

関節リウマチは、自己免疫疾患の一つで、全身に症状が起こる可能性がある全身病の一つです。 初期には熱っぽい、倦怠感、食欲不振などの全身症状と共に、朝起きた時に手足がこわばるような症状があります。
進行すると手足の関節の腫れやこわばり、痛みなどが起こり、徐々に骨や関節が破壊されて固まってしまい動かなくなったり、逆に関節が緩んでしまって大きく変型したりします。
この症状は1箇所の関節だけではなく全身に広がってしまうこともあります。そのため、リウマチは初期に発見して治療を開始することが重要な疾患です。初期症状に気づいたら、出来るだけ早くリウマチ科を受診してください。

関節リウマチの原因

原因はまだはっきりとは解明されていません。しかし、何らかのきっかけで、関節の滑液を作る滑膜という部分に炎症が起こり、そこに免疫細胞が集まり、自身の骨や軟骨、滑膜自身などを異物と見なして攻撃することで、それらの組織がだんだんと破壊されていきます。
関節リウマチは、大きく分類すると、自己免疫疾患であると同時に靱帯や骨、軟骨などに起こる結合組織疾患であり、さらにリウマチ性疾患という3つの特徴が集まったものです。
遺伝的要素に、感染やストレスなどの外的要因が加わって発症すると考えられています。

発症の多い年代

関節リウマチは、女性の罹患数が男性より3倍強と圧倒的に女性に多い疾患です。好発年齢は40歳代で30~50歳代に多いとされています。
女性に多い理由は詳しく分かっておりませんが、好発年代から見てホルモンとの関わりが考えられています。
日本の関節リウマチの患者数は、およそ70~80万人と推定されており、およそ1000人に7人程度と言う報告があります。

関節リウマチの症状

関節リウマチの初期症状は全身の倦怠感や熱っぽさ、関節の腫れ、動作の際の痛み、力が入りにくいなどがあり、代表的な症状として、朝起きた時のこわばりが挙げられます。
この症状は起きてしばらくすると解消していくのが特徴で、日中にはほとんど気にならなくなることが多く、起きた時の着替えでボタンがはめにくいといったことから気づくケースが多くなっています。
好発部位としては、手首の他、手指の第2関節、指の付け根の関節などで、多くは左右対称に起こりますが、必ずしも左右対称に症状が出現するわけではないので注意が必要です。
現在では様々な治療薬も開発されていますので、悪化して関節や骨の破壊が進まないうちに、初期症状の段階で、早めに受診して治療を開始することが大切です。ちょっとした症状でも気づいたらすぐにリウマチ科を受診することをお勧めします。

下記のような症状がある方
は受診しましょう

  • 朝起きた時からしばらく手や足の関節を上手く動かせない
  • 手指がこわばる、動かすと痛い
  • 手指が腫れたり、赤くなったりしている
  • 手首などの手の関節、肘などが痛む
  • 足の関節が腫れたり痛んだりする
  • ちょっとしたことで脱臼した
  • 関節が変形してきた
  • 発熱や倦怠感、だるさなどの全身症状 
    など

関節リウマチの検査

関節リウマチの検査では血液検査、X線検査、MRI検査などが重要になってきます。
また除外検査として尿検査も必要です。

血液検査

血液検査では、抗CCP抗体、リウマチ因子といった関節リウマチの発病に関与する自己抗体を調べると共に、関節炎の有無を調べるためCRP、赤血球沈降速度(赤沈)、MMP-3といった炎症反応もチェックします。
特に抗CCP抗体とMMP-3は関節リウマチに特異的な検査であり重要です。また、症状によって関節リウマチ以外の膠原病(全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、強皮症等)の検索も行います。また貧血、体の栄養状態、肝・腎機能、脂質、糖尿病等他の疾患の有無も確認いたします。

尿検査

尿検査は、他の疾患の除外検査として行う他、関節リウマチに合併しやすい間質性腎炎、膜性腎症などの有無も確認します。

X腺(レントゲン)検査

関節の状態をX線によって観察します。診断の際にも、また進行度チェックにも必須の検査となります。手のX線撮影を行う際に必要な方には骨密度測定も併せて行います。
リウマチは進行すると間質性肺炎や気管支拡張症等のリウマチ肺を起こすことがありますので、そのチェックのために胸部X線も定期的に行います。

MRI検査

関節リウマチは誰しも早期には変形を認めないためX線検査では異常がないことが普通です。しかも発症早期には血液検査にも異常を認めないことが多く診断に苦慮することもしばしば経験いたします。
そのよう場合、関節の造影MRI検査により関節リウマチの病態の本態である滑膜炎を証明することが可能で早期診断に有用です。関節の造影MRI検査は患者様への侵襲の少ない検査で痛みも辛さもありません。
関節の造影MRI検査は独立行政法人国立病院機構相模原病院にて当院から電話で予約をお取りして行います。

関節リウマチの治療

近年、関節リウマチに対する治療薬や治療方法の進歩は目覚ましいものがあります。
そのため、以前では、関節の変形をなかなか食い止められず、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患として認識されていました。
現在では進行を食いとめ、良好な日常生活を送ることが可能な疾患となってきています。しかし、そのためには、骨や軟骨などに破壊が起こる前の早期の段階で治療を始めることが大切です。
関節リウマチと診断されたら、すぐにMTXを中心とした抗リウマチ薬を使用して治療を始めることになります。
抗リウマチ薬に抵抗性の方には生物学的製剤を開始いたします。また抗リウマチ薬は肝臓や腎臓への副作用が認められる場合があり、生物学的製剤は自己免疫を調節するもので免疫機能が低下し重篤な感染症を引き起こすリスクもあります。そのため、日本リウマチ学会が定めた診療ガイドラインに沿って、安全な治療を行います。また、患者様ご本人や一緒に暮らすご家族の方々にも、治療薬の性質や起こりうる副作用の問題などについて、しっかりとご説明し、ご理解を頂けるような治療を心がけております。もし分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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